赤ちゃんが生まれた後に自然に出てくる胎盤。今回は胎盤についてお話をしたいと思います。
胎盤の役割
胎盤は、妊娠を維持するため、お腹の赤ちゃんのために成長に欠かせない重要な役割を果たします。具体的には、胎盤は以下のような働きを持っています。
- 栄養供給: 母体から赤ちゃんに酸素や栄養素を届けます。
- 老廃物の排出: 赤ちゃんから母体に二酸化炭素や老廃物を運び出します。
- ホルモンの分泌: 妊娠を維持するために必要なホルモンを生成します。
胎盤の成長と構造
胎盤は妊娠5週目頃から形成が始まり、妊娠16週頃には完成します。妊娠が進むにつれて、胎盤は赤ちゃんと共に成長し、出産時には直径約20cm、厚さ2~3cm、重さは約500gになります。赤ちゃんの体重がみんなちがうように胎盤の大きさもそれぞれちがいます。
フィルター機能がある胎盤。分子量が大きい物質に関しては、胎盤を通り抜けることができないと言われています。
ほとんどの食べものは分子量が小さいので胎盤を通過します。ママが口にした食べものは赤ちゃんに届きます。薬の成分や病気の自己抗体の中には、分子量が大きく胎盤を通り抜けられないものもあります。なので胎盤通過しない薬などは、赤ちゃんに影響が少ないと言われています。
胎盤の位置
通常、胎盤は子宮の上部に位置しますが、時には違う位置に付着することがあります。特に「前置胎盤」と呼ばれる状態では、胎盤が子宮の出口近くに位置し、出産のときに注意が必要となります。病院での超音波の健診では胎盤の位置を確認しています。
胎盤の終わり
赤ちゃんが生まれた後、30分以内くらいの間に胎盤が自然と子宮から剥がれて出てきます。これが「後産」です。役割を終えた胎盤が自然と出てくることは不思議です。
役割を終えた胎盤にお花で祝福です。胎盤があったからこそ、赤ちゃんがお腹の中で大きくなりこの世に生まれることができました。
「自然は、子どもが誕生直後の時期に、二つの源から酸素を得られるように、子どもを作ったのです。二つの源とは、へその緒と肺です。~省略~母親の子宮をあとにしてきた子どもは、まだ数分のあいだ、力強く脈打つへその緒によって母親と結ばれています。子どもがへその緒を通して受けとります。同時に落ち着いて、ゆっくり、あせらず呼吸を開始できます。」
F・ルボワイエ著 中川吉晴訳 「暴力なき出産」 星雲社より
助産院ではへその緒を切るのはへその緒の拍動がないことを確認してから行うことが多いです。というのも胎盤から赤ちゃんへ最後のプレゼントが終わってからが自然だと思っているからです。へその緒を切る人、切るタイミングは女性とご家族と相談しながら決めています。赤ちゃんが「人」として自立する大切なセレモニーだと思っています。